solon’s blog

英日日英、中日日中の翻訳業。外国語トレーニングを中心に書いています。

百人斬りの謎

このごろ山本七平氏の本を読んでから、太平洋戦争や旧軍関係の本を読んでいる。

中国や南北朝鮮の主張する日本軍の行為はたしかにあったと思うが、一部には誇張もあるようだ。
そのあたりをきちんと見極めないと、いたずらな自虐史観におちいる。

第一次世界大戦後、オーストリア全体主義思想が誕生したのは、プロテスタンティズムが自壊してカトリシズムに戻ったこの地域の人々が自立的な倫理基準を失い、享楽的で軽佻浮薄な、ものを考えない人生観をもったことに原因があるというような文章を読んだ。

戦後日本の言説にも、同じようなことがいえる。
GHQ言論統制によって誘導された戦後の進歩的思想は、逆説的に考えることを忌避する国民性をつくりあげた。

もともと個人が大局的なことに頭を使うことは許さない「封建思想」の国である。
思考に自立性が欠如することにはなんの違和感も、疑問も感じない。

ただ、それではまたなしくずしに「えらい世の中」が来る。

南京100人斬りがあったかどうか、ある著書で山本氏は論じている。
真偽は不勉強なのでわからないが、素朴に事件があったと信じるのはよくないと考えるようになった。

戦前、戦中のことがらは、納得がいくまで調べてみる必要がある。
中国や南北朝鮮に謝罪するだけでは、無責任だ。
何があったのかを、非専門家であろうとしっかり見ていかなければならない。

もう一度、歴史の愚考を繰り返すことを避ける方法はそれだけだ。