solon’s blog

英日日英、中日日中の翻訳業。外国語トレーニングを中心に書いています。

百人斬り

以前、「百人斬り」競争とは、南京大虐殺のときに旧軍人が中国人の民間人を殺戮した行為だとばかり思っていた。


山本七平氏の「私の中の日本軍」を読み、じじつは二人の将校が南京へ進軍するあいだに中国兵を斬り殺す競争をしたのだと知った。


昔読んだ本多勝一氏の本を読んで勘違いしていたらしい。


二人の将校(向い少尉と野田少尉)は戦後処刑された。
その原因となったのは、当時の毎日新聞が掲載した「百人斬り」競争の記事だった。

二人の将校は記事を執筆した特派員にあれは虚報だったと証言してほしいと頼むが、ていよくあしらわれ刑場に消えた。


これだけ聞くと、いかにも二人は大悪人だが、実態は殺人狂というよりでっちあげ記事に協力した世間知らずな若者だったらしい。


山本氏の本を読んだだけなので、判定をする資格はないが、日本刀で多数の人間を殺すには竹刀剣道の練習だけでは無理で、抜刀術の達人であることが必要だという山本氏の主張には納得する。


両少尉は居合術や抜刀術をしらず、実際に人を斬ったことさえあるのかどうかわからないほど日本刀の扱いを知らない。


両少尉の遺族が戦時中の新聞記事や戦後に「百人斬り」競争をひろく国民に知らせた本多勝一記者を訴えた訴訟がおきたときは、どうなるかと興味を持った。


結果は地裁で棄却された。
両少尉も記事の執筆者の特派員もすでにいない。
真実は闇の中だ。


だが、こういうことを明らかにするのは、後代の人間の仕事だろう。
すべての罪を身代わり(人代:ひとしろ)にのせて、海・川に捨ててそれでよしとするミソギ思考は、りっぱなビョーキだ。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050823-00000032-jij-soci
旧日本軍遺族の訴え棄却=記事「明白な虚偽と言えず」−「百人斬り」名誉棄損訴訟