solon’s blog

英日日英、中日日中の翻訳業。外国語トレーニングを中心に書いています。

なぜヤマンバは怖いのか

solon2009-12-17

枯れ葉に埋もれた新宿御苑を散歩している。
ところどころ紅葉が残っているものの、常緑樹をのぞけば葉を落とした木ばかり。


もの寂しい冬枯れの景色をみるたびに思い出すのは、柳田国男の「遠野物語」。


娘時代に行方知れずになった女が老婆となって実家に帰ってくる。
その髪はヨモギのように乱れ、着物はぼろぼろ。
破れた着物は木の葉でつくろってある。


女は山人の妻、山姥となっていた。
強い風の吹く日にかぎって現れ、山を鳴らす風とともに去ってゆく。


紅葉の季節になると、この話を思い出す。
なぜか、ぞっとする。


冬枯れの木立のなかに覗く紅葉した木。
美しいのだが、なぜか怖い。


なぜ山姥は怖いのだろう。
そんなことを考えながら、御苑の紅葉山を散策した。