solon’s blog

英日日英、中日日中の翻訳業。外国語トレーニングを中心に書いています。

ニンゲンの幸せ

ヒトの不幸せの原因は、ひとりでいられないことだとパスカルは見抜いた。
この意見には、テーラーワーダ仏教(上座部仏教)も賛成している。


ニンゲンは他人の賞賛を絶対的に必要とするが、もちろん常にそれが得られるわけではない。だからこそ、ニンゲンは不満であり、不幸である。
パスカルの見方はこうだ。


テーラーワーダ仏教は、そうしたヒトのありようを執着と呼ぶ。
「執着」という誤ったものの見方が、ヒトの不幸の根本原因だ。


だとすれば、ヒトは根源的に救われない。
ほっとすることなどありえない。


パスカルは、解決策として「神」をもちだす。
テーラーワーダ仏教では、「ヴィパッサナー瞑想」がその代わりとなる。


とにかく、人様の意見で幸福が左右されるのは仕方のない現実だ。
右往左往するのが、ニンゲンらしいと言えなくもない。
ただ、それではとてもじゃないないが、たまらない。
やってられない。


幸せを、人様の意見に影響されない部品から構築すること――
そう気づいた賢人もいる。


たとえば、ヘンリー・ソロー。


ソローの場合、ヒトでない部分を補完するのは、「大自然」だ。


賞賛は論外であり、「共生」しかありえない(物理的、心理学的に)自然は無条件で肯定すべきもの、肯定せざるをえないもの。


逆説が真理であり、新しい倫理の土台となる。


つまり、自然に還ろう。自然に親しむ。
これが、幸福の出発点であり、到達点になる。


緑あふれる自然を、水筒を手にして一日歩いてみた。
思いはいつしかソローにいたり、森の隠者の哲学に同化していた。


補足:
読書日記更新しました。
「信じる生き方」