solon’s blog

英日日英、中日日中の翻訳業。外国語トレーニングを中心に書いています。

先祖ゆずりの血

『鉄砲無頼記』(津本陽)を読んだ。


読書日記がなかなか更新できないので、こちらに書いておく。


時は戦国時代。
根来衆(僧兵)の頭目、杉ノ坊覚明の弟、地侍津田堅物は種子島にわたり、鉄砲を手に入れ、戦国最初の傭兵鉄砲集団「根来衆」を作る。


小説は、傭兵となった津田堅物の戦場往来と、金と酒色にふけった無頼の日々を描いている。


津本陽は、偉い武将や名僧の生涯を描くときは、ほとんど他人の著作物の引き写しみたいになる作風だが、この手の殺人を職業とする無頼の徒を描くときはじつにうまい。

また読んでいて楽しい。


剣豪ものも、とにかく虚無的で血なまぐさい。
道理はご意見無用の状態。
人殺しが当たり前の仕事のようにみえてくるから不思議だ。



津本は戦国時代のもう一方の傭兵鉄砲集団、雑賀衆の末裔だという。
和歌山方言丸出しの戦闘集団の戦闘シーンはリアルで、面白い。



それもこれも、先祖の血のなせるわざだろうか。