さめた目の栗原類だって
ラファエロ展に行きました。
本人の作品はほんのちょっぴり。
ただ大傑作が二つあるから儲けものだ。
それは、若きラファエロの自画像と、ポスターになっている聖母子像。
これだけでも、いく値打ちがある。
あとひとつ、お気に入りは、フィレンツェ時代の作品の天使像。
天使と言うより、究極のイタリア美少女さま。
これは必見。
絵はがきでも売っていた。
ところで、Eテレの新日曜美術館で、ラファエロ展を紹介していた。
ナレーターがいうには、若きラファエロはモデルの栗原類そっくりだとか。
なるほど似てはいるが、本物の方(もちろんラファエロの方)がかなり上だ。
知的で、さめた目がなんともいえぬ魅力。
じっくりみていると、絵が生きた人間の顔にみえてきた。
肌の質感が、生き身の人のそれになったような感じ。
ふいに、頭の中にわかりもしないイタリア語のフレーズがわいてきた。
あたま、大丈夫か、ヲレ?
−−というメンタリティーになった。
ラファエロ・サンツィオという名前が親しげに思えて、友達になったようなきがしてきた。
そうして会場を歩くと、ラファエロ描く男や女が生きた人間のように見えて、意味不明のイタリア語で話しかけてくる。
ウルビーノ公妃エリザベッタ・ゴンザーガには、とくに親しく呼びかけられたような気がする。
なんだか懐かしい知り合いに会ったような錯覚をしたまま、言葉を交わしたような気がする人たちの肖像画を絵はがきで買い込んだ。