solon’s blog

英日日英、中日日中の翻訳業。外国語トレーニングを中心に書いています。

悪は人を魅了します

シリアルキラーと、ミスリードというサスペンスの王道を貫いた今週の「相棒」。
小日向文世の殺人鬼は、悪の魅力がしたたるほど。
精神科医奥貫薫の濡れた眼が、犯人とミスリードさせる。


演出側の仕掛けにわかっていながらのる楽しさを、ひさしぶりに堪能できた。


ところで、テレビ好き、ミステリ好きは殺人事件が話題になるたびに、犯人をめぐるプロフィールに熱中する。
そこを「悪は人を魅了する」と精神科医と右京さんは指摘する。
人間存在の根底にひそむ怪物がそうさせるのだと。


だが、そうだろうか。
もっと浅薄なものではないか。
自分とは無関係な悲惨を娯楽的消費財として楽しむ冷酷さ。
むしろ、こちらのほうがたちが悪い。
情報化時代の人間は、「存在の根底に潜む怪物」という形而上的な悪よりも、情報を消費する生活習慣のせいで、もっと不気味な魔物になっている。


http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/4/story.html
第5話 「悪魔の囁き」